第32話 装備の新調
前回はレベリングの為に『魅惑の匂い』を使用して、誘き寄せたモンスターの群れと戦闘をした。
────何とか生き延びれたが、疲労困憊ですぐにログアウトしたのでステータスのチェックや、ドロップアイテムの売却などは後回しになっている。
今日はその後回しにした用事を済ませておこうと、再び『ラスト・パラダイス』の世界にログインしたところだ。
昨日の戦闘で枯渇していたはずなので、MPは半分くらいだろう。
ステータスチェックを行う。
すると……。
あれ────?
おかしい……。
HPは140まで回復していて、MPも520まで戻っている。
一日休んだだけなのに、これだけ回復するとは……?
僕のHPは、もともと少ない────
どれだけ減っていても一日あれば殆ど回復するので、さほど不思議ではないが、MPは回復しすぎのような気がする。
僕はステータスを詳しく見ていく……。
「何か、変化が……」
……ああ、これか!
特技の所に『回復力上昇』というのが、新しく増えていた。
これのおかげで、これだけ回復していたのだろう。
冒険者のレベルが、27から30まで増えている。
恐らく30までレベルを上げたことで、特技が増えたのだ。
う~ん……。
…………。
欲を言えば、魔法が増えて欲しかった。
何かしら魔法を覚えれば、冒険者ギルドで仲間の募集が行えただろう。
「────盾装備の仲間が、欲しいんだよな」
前衛にタンクがいてくれれば、ダンジョン攻略を進めやすくなる。
────まあ、贅沢を言うべきではないな。
無いものは仕方ない。
『回復力増強』も、魔法に引けを取らない有用な特技だ。
実際に、もう役に立っている。
これがあれば────
消耗の回復に時間を取られずに、攻略を進められそうだ。
それ以外の変化は、魔法使いのレベルが23から、25まで増えたいたくらいだ。冒険者で3、魔法使いで2、レベルが上がったことで、ボーナスポイントが5付与されている。
……。
……僕はこのボーナスポイントを、『膂力』に割り振って、数値を28から33まで上昇させた。
それから前回の戦利品を、道具屋に持って行き、販売する。
僕の集めたコボルトの毛皮の買取金額は、全部で金貨30枚になった。
僕はその足で、続けて買い物をする。
先ず向かうのは、武器屋だ。
武器屋で売っている商品のラインナップは、ブイロ村と変わらない。
僕はお目当ての商品を注文する。
「────戦士の短剣を下さい」
「それなら、金貨15枚だ。────あとな、こいつは力がなけりゃ扱えない。膂力30以上ないと装備できないが、いいかい?」
「はい、大丈夫です」
このゲームの『短剣』装備は、膂力30以上で装備できるようになる。
『ナイフ』装備にはそういう制限が無かったので、これまではナイフを使っていたが、ステータスの『膂力』を上げたことで、より攻撃力のある武器を装備できるようになった。
「えっと、『冒険者のナイフ』を売りたいんですけど、買取はして貰えますか?」
「────悪いな坊主。中古品の買取はしてないんだ。……鍛冶屋に持って行けば、買い取って貰える。ただし、どんな装備でも買取金額は、金貨1枚にしかならんがな」
……ここで、装備の買取はして貰えないようだ。
『冒険者のナイフ』は、金貨2枚で購入した代物なので、金貨1枚で引き取ってもらえるなら別にいい。だが、金貨15枚もした『戦士の短剣』を、金貨1枚で売るのはちょっと抵抗がある。
「でもまあ、仕方ないよな……」
これを売ることになるのは、たぶん、ずっと先になるだろう。
それまでにしっかり使っていれば、売る時に『惜しい』とも思わなくなるだろう。
僕は武器屋から手渡された『戦士の短剣』を、腰の後ろに差して装備した。
冒険者のナイフは、売らずにアイテムボックスに入れておくことにする。
────将来、何かの役に立つかもしれないしな。
僕は貧乏性なので、こういうのは売らずに取って置くタイプだ。
次は防具屋に行って、防具を新調する。
装備品のグレードアップをしたいのだが、『戦士』装備は冒険者装備の約十倍の値段になる。
僕は『戦士の盾』を購入し、『冒険者の盾』と入れ替えた。
値段は金貨30枚。
ここで手持ちの金貨が23枚になったので、買い物はこのくらいにしておく。
「これから、外に出てこいつを試すか……」
特技『回復力上昇』のおかげで、コンディションは悪くない。
ゲッテ村の周囲で、新しく買った短剣の試し切りをしてみようと思う。
僕は村の外に出た。
村の周囲をうろうろと歩いていると、一匹のコボルトに出くわした。
僕は右手で戦士の短剣を引き抜き、構える。
戦士の盾は、左腕に装備している。
ダークショット抜きで戦う時の、戦闘スタイルだ。
コボルトは、まっすぐに僕に接近してきた。
大きく口を開けて、噛み付こうと飛びかかってくる。
────ドガッ!!
僕はそれを、戦士の盾で防御した。
敵の攻撃を防ぐと同時に、盾で敵の視界を制限する。
そのまま盾を、コボルトの顔に押し付ける。
コボルトは盾を両手で掴む────
除けようとしてきた。
────ググッ!!
力比べは、僅かに僕の勝ちだ。
僕は戦士の短剣で、無防備なコボルトの身体を切り裂く。
ザシュッ────
ナイフでの攻撃よりも、深い傷を与えることが出来ている。
……だが、まだ敵は死んでいない。
攻撃を受けたコボルトは、バランスを崩し倒れていた。
僕は振り上げた短剣を、コボルトの胸に突き立てて────
ずぶっ!!!!
止めを刺した。
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名前 タナカ ジロウ
職業 冒険者Lv30 魔法使いLv25
戦闘タイプ 特質系 時空間能力者
魔力属性 闇
最大HP 140/140
最大MP 520/670
膂力 33
体力 130
魔力 830
俊敏 76
命中 55
精神力 125
運 70
魅力 115
装備
旅人の服 旅人の靴 旅人のマント 冒険者の鎧 冒険者の兜 戦士の盾 魔導士の指輪 勇者のネックレス 戦士の短剣
スキル
魔力操作 魔力属性変化 魔力具現化 魔力放出
魔法
なし
特技
ダークショット スロウ ワープ 回復力上昇
所持金
金貨23枚
ボーナスポイント
0
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