自分だけの呟きノート?アナログで、良い

白鷺(楓賢)

本編

SNSを辞めて、しばらく経ちます。辞めた直後は、「やっと自由になれた」という解放感がありました。しかし、時間が経つにつれ、まだ心のどこかで「呟きたい」という衝動が時折顔を出すのです。SNSはまさに中毒性が高く、一度慣れてしまうとその感覚が抜けきれないものだと実感します。ふとした瞬間に「ここで呟きたい」「この感情を誰かに伝えたい」と思うことがある。それが、SNSの強力な魅力であり、時に人を捉えて離さない原因なのでしょう。


そこで、私はある対策を講じることにしました。それは、極々普通のノートを用意することです。特別なデザインでも、高価なノートでもありません。本屋で見かけるような、一般的なノート。しかし、そのノートが私にとっては「誰にも見せない、自分だけの呟きを綴る場所」となりました。


SNSに投稿するような感覚で、思ったことや感じたことをそのままノートに書き込んでいく。デジタルの文字ではなく、アナログな手書きで一つ一つを形にすることで、不思議と心が軽くなるのを感じます。誰かの反応や「いいね!」を求めるのではなく、ただ自分のために書き続けるという行為が、私にとって新しい解放感をもたらしてくれたのです。


しかし、ただ書くだけでは物足りません。どうせなら、もっと自分の個性をこのノートに表現したい。そんな思いから、私は色鉛筆を使うことにしました。感情に合わせて色を変えてみたり、強調したい言葉に違う色を使ったり、時には小さなイラストを添えてみたり。ノートを開くたびに、ページがカラフルに彩られていく様子を見ていると、まるで心の中が整理されていくようです。色彩に感情を乗せて、書くことそのものが一つの癒しの時間になっているのです。


このノートは、誰にも見せません。私だけの秘密の場所だからです。けれども、それだからこそ、こだわりを持って書き続けます。自分のためだけに書くのに、なぜこだわるのか?それは、自分の思いや感情にしっかりと向き合うためです。何でもデジタルで済ませる時代だからこそ、手で書き、形にしていくことには特別な意味があります。紙に文字を綴ることで、感情が目に見える形となり、心にしっかりと刻まれていくのです。


こうして、私は「呟く」場所をアナログで確保しました。それによって、SNSからの誘惑を少しずつ遠ざけることができています。何かを呟きたいという衝動が起きたら、スマホではなくノートを手に取り、ペンを走らせる。そうすることで、無理なくSNS依存から距離を取ることができたのです。書き出すという行為そのものが、私にとっての心の浄化の手段となりつつあります。


ノートが満タンになったら、また新しいノートを用意して同じことを続けるつもりです。その繰り返しの中で、自分の内側としっかりと向き合い、成長していくことができる気がします。デジタルでは得られない、手で書くことの温かさや安心感。それを感じながら、私は今日もまた、自分だけの呟きをノートに綴っていくのです。


自分だけのノート、アナログで綴る喜び


ノートは単なるツールではなく、私にとって自分と向き合うための大切な場所です。SNSを離れ、手書きで呟くことで、他人の目を気にせず、純粋に自分自身を表現する時間を手に入れました。アナログな方法だからこそ、自分の感情にしっかりと触れることができる。そのことに気づいてからは、SNSの呪縛からも少しずつ解放され、ノートに感情を書き出すことが、私にとっての新しい日課となっています。

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