第10話
痛いくらい力強く掴まれた手首。
大きな何かにスッポリと後ろから包まれた身体。
「ちまっ」
「ちまりっ」
そんな風に呼んでくれる人はこの大学には居ない。
養護施設の皆ぐらいで……
でも聞いたことのない声。
「「「「キャーーッ!!!!」」」」
「!!??」
耳をつんざくような女のコ達の歓声。
「イケメン!!」
「イケメン達が颯爽と現れたんですけど!?」
「少女漫画みたいな展開っっ!!」
えっと……?
「どうした!?ちまっ、どこか痛いのか!?」
「足か!?足でも捻ったか!?」
取り敢えず私は階段から落ちなくて済んだようだ……
固く閉じていた目を恐る恐る開けると……
私の手首をしっかり掴んでいる
前髪がセンター分けの軽くウェーブのかかった漆黒の髪。
オシャレな黒縁メガネの奥の形の良い綺麗な瞳。
日本人離れした整った顔の男の人と。
私の身体をしっかりと抱きとめ後ろから覗き込んできている
淡く輝くサラサラの銀髪。
研ぎ澄まされたように鋭い漆黒の瞳。
冷めた氷のように美しい男の人と。
そして両手を広げたまま私を助けることに失敗して呆然としている園崎。
の姿が見えた。
とても真剣な表情で私を心配してくれる二人。
会ったことはない……と思うのだけど
「ちまっ!!」
「ちまりっ!!」
二人は当たり前のように私の名前を呼ぶ。
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