プロローグ

第1話

産まれてすぐ、へその緒がついた状態で薄い毛布に包まれ公園のベンチの上に捨てられていた赤ちゃんがいました。




なんとか一命を取り留めた赤ちゃんは女のコで




“ちまり”




と名付けられ、児童養護施設で育てられることとなりました。



彼女にとって


児童養護施設が“家”であり


そこに住む人達は大切な大切な“家族”です。



新しく入った子の面倒は率先してみる。


里親が決まれば自分のことのように喜び、笑顔で見送る。



“ちまり”はそんな良い子でした。



けれど“ちまり”が七歳の頃、唯一泣いた別れがありました。



仲が良くていつも一緒に居た二人の男のコ。



その子達がほぼ同じ時にもらわれることになったのです。



離れるのが寂しくて悲しく……



泣く“ちまり”に二人の男のコは




『ぼくはぜったいにまた、ちまりのもとにかえるよ』



『ぼくもっ!!』




そう言って、“ちまり”に小指を差し出したのです。




『っっひっく、うんっ、うんっまってる』




三人の小さな小指が絡まります。






『『『やくそく』』』































一年……


二年…………



時は過ぎて。




“ちまり”に里親が現れることもなく、男のコ達に会うことも一度もなく、約束が果たされることのないまま





約束から十年以上の月日が流れました。





「もう忘れてるよね……」





ちまりは手にしていた写真立てを机の引き出しの奥へと伏せて片付ける。




「嘘つきーー」

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