第13話
「何でぼくがこんなことに巻き込まれなきゃいけないんだ」
「どうせ会社に行ったって、またいじめられるだけでしょ。もう会社になんて行かなくていいじゃん」
「なぜ、知っているの・・・」
なぜ出会ったばかりの少女が、真司の私生活のことまで知っているのか。不思議に思う前に、真司が心に封印してきた言葉をこの少女がいとも簡単に口にしてくれた。なぜか真司は心が軽くなった気がした。そして真司は少女に手を引かれるままに歩き出していた。
「どこに行くの」
「あいつのところよ」
「あいつって・・・」
「行けばわかるって」
やがて二人は古びれたマンションに着いた。真司はこのマンションを知っている。少女は迷うことなくマンションの一室へと近づいて行った。
「ちょっと待って、まずいよ」
「大丈夫、大丈夫」
少女は徐に横山の部屋のチャイムを鳴らした。何も反応がない。少女は乱暴にチャイムを連打した。扉の鍵を外す音が聞こえ、扉の隙間から横山が顔を出した。
「だれっ、こんな時間に・・・」
横山が人生最後の言葉を言い終わらないうちに、一発の銃声が鳴り響いた。
横山は至近距離から眉間を撃ち抜かれて即死した。
「なっ、何をやっているんだ、君はっ!」
少女は真司の手を引いて走り出した。真司は何がどうなっているのか、状況を全く理解できず子供が手を引かれるように走っていた。また真司が息苦しくなって立ち止まると、へたり込む真司の上から、少女が驚愕の一言を放った。
「すっきりしたねぇ。あんなクズ、死んで当然よね」
少女はけらけらと笑っている。
「君は狂ってる」
真司はこの言葉以外に何も言えなかった。
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