盾が砕けようとも
ほしくい
第1話 プロローグ
「さっさと前に出ろこの役立たずめ!」
一瞬の浮遊感と反転する視界、後から来る鈍い衝撃に私は唖然としていた。
受身も取れず無様に転んだ先、目の前には3メートルは超えるだろうオーガの姿。地を這う私へ向ける視線は虫けらを見る目付きと同じ。
「ァーーーゥア……」
このままでは確実に死ぬ。
せめてもの私の微かな呻きは脱兎の如く逃げる小太り裕福貴族のボンボンに喚かれかき消された。
「誰かァァァ!我を助けろオオォ!」
洞窟に反響する声に答える者など居なかった。
それもそのはず、この場には私と裕福貴族の二人だけなのだから。残り全員がオーガの振り回した棍棒に蹂躙され肉塊となって転がっている……。
ただただ死にたくない。そう願ったところで怪物は私を見逃すわけもない。
振り上げた棍棒が私を目掛け落ちてくる。
真っ白な脳内に浮かぶ言葉は逃避の台詞。
……私なんでここにいるんだろう。
盾が砕けようとも ほしくい @hosikui
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