『声が枯れるまで』

 植物はその一生のうちに二種類の成長をする。

 一つは「自身の体を大きくするため」の成長、もう一つは「種となる実を育てるため」の成長。


 「自身の体を大きくするため」の成長は、種から芽が出て植物が背を伸ばしながら成長し、開花をするまでの過程。

 「種となる実を育てるため」の成長は、結実のち生熟し、実が熟成されるまでのこと。

 そして最後には実が種になり、次の世代へと繋ぐ。


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 植物は声に似ている


 学生の遊びや部活動に励む、元気な声

 期待を胸に社会へ出たときには、溌剌とした声

 

 公私ともに実を結べば、自信や責任のある声にもなり

 経験を教える立場ならば、やわらかい声や厳しい声にもなる


 いろいろな人が、さまざまな立場で、それぞれの声を出す

 

 けれど、最後には声は消える

 

 誰かがどこかで聞いた最後の声

 それが種になり、その人の中で眠り続ける


 その種が何に成長するかは、まだ誰も知らない


 そんな声の一生

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