第10話 事故星の確認
私は彼女と一緒にいるとよく事故に遭うので、彼女が本当に「事故星」を持っているかどうかを確かめたくなった。
鈴鹿サーキットでF1の日本グランプリがあることを知った私は、B1観覧席をネットで購入し、麻美さんと一緒に新幹線に乗ってそのレースを見に行った。
麻美さんは自動車レースに興味はないようだったが、とにかく頼み込んで同行してもらった。
その結果、F1日本グランプリでは事故は起こらなかった。
しかしである・・・
二人で見に行った自動車レースで事故が起こらなかったことで、少しがっかりした顔をしている私に、
「撮夫さん、今日はずっとタブレットPCでレースを撮っていたみたいだけど、何が面白かったの? 私、退屈しちゃった」
と、麻美さんが言った。
今日もスクープ映像が撮れるかもしれないと思って、彼女のことに気を配って上げられなかったことを私は少し反省した。
「この埋め合わせは、今度ちゃんとするから」
私がそういった時であった。
私たちが座っていた車両の前の車両から乗客が走り出してきた。
前の車両で火事が起こっているようだった。
(新幹線で火事なんて?)
私はとっさにカメラを握って、前の車両に行った。
そこでは、中年男性が燃えていた。
後の警察の調べで分かったことだったが、
それは、世をはかなんだ男が、ペットボトルに混合油を入れて車内に持ち込み、焼身自殺を図った結果であった。
やっぱり麻美さんは、「事故星女」・・・私はそう確信するに至った。
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