落ちこぼれな努力家冒険者は、魔物を狩れば狩るほどレベルアップする魔剣で成り上がる。
さい
第1話 努力は人を裏切ります
冒険者とは、世界中に存在する未知を探求し、危険なクエストに挑む職業のことを指す。
彼らは自由を愛し、日常から離れた非日常を求めて旅をする者たちだ。
冒険者の生活は、いつも変化に富んでいる。
広大な山脈、深い森、神秘的な遺跡、あらゆる場所が彼らの舞台となる。
この職業の魅力は、ただ単に戦うことや財宝を手に入れることではない。
仲間との絆を深め、様々な人々と出会い、冒険を通じて自身を成長させていく過程にこそ、真のロマンがある。
時には、身を潜めて危険を避けることもあれば、時には敵と真っ向から対峙する勇気も必要だ。
彼らの行動が新たな伝説となり、次の世代に語り継がれることを知っている。
だからこそ、冒険者たちは、夢や希望を胸に秘めて、明日も新たな冒険に向かって歩き出すのだ。
彼らの物語は、常に新しい可能性と驚きに満ちている。
つまり、ロマンに満ち溢れている職業だ。
六月中旬──
空は澄んだ青さを見せていたが、突如として暗雲が集まり始めた。
静かな森にひそやかな風が舞い、木々がざわめきだす。
その瞬間、空から一筋の光が地上へと向かって降り注いだ。
それは稲妻にも似た速さで、しかし驚くほど静かだった。
光の中から一本の剣が現れ、ゆっくりと大地へと引き寄せられるように落ちていく。
剣は太陽の光を受けてまばゆく輝きながら、音もなく森の中心にある小さな草地に突き刺さった。
周囲の木々は一瞬、何かが目覚めたかのように葉を震わせ、静寂が戻る。
剣には二つの目がついており、柄には古代の文字が彫られ、薄い青い光を放っている。
森全体が、剣を守るかのように息を潜め、その場に広がる緊張感は、まるで時が止まったかのように感じられた。
「だ、誰か俺を助けてくれえええ」
○
世の中にはどんな頑張って不可能なことで満ち溢れている。
努力すればなんでも叶うだなんて、ただの綺麗事なのだと知ったのは高校一年の冬頃だった。
俺こと龍崎リュウガは冒険者部を退部した。
幼い時から俺は親父のような偉大な冒険者になるために頑張ってきた。
毎日、修行した。
けれど、俺には冒険者としてとてつもなく才能がないことを知った。
人生とは理不尽だな。
俺は冒険者にはなれないことぐらいわかっている、なのに。
森の中、一本の木に向かって魔力をこめた右手をぶつける。
ガサガサ、と気が揺れる。
はあはあ……。
木には無数の拳の跡がついていた。
全て俺がつけたものだ。
こんなに頑張っていても強くなれない。
手からは血が流れ出す。
「なんで強くなれねえんだよ」
水原高校冒険者部は元々、親父が所属していた部活だ。
だから、あまり自分に合った偏差値じゃなく一生懸命勉強して入学したというのに、この様ときた。
「俺はどーすればいいんだよ」
諦めたいのに諦めきれない。
「くそくそくそくそくそ」
何度も何度も木を殴る。
「あああ、悔しい悔しい悔しい悔しい」
あいつもあいつもあいつもあいつもみんな俺よりも努力してねえのに冒険者になれるのかよ。
「おかしいだろ」
努力すれば強くなれる身体がほしい。
強く、強くなりたい。
冒険者になりたい。
「はあはあ、強くなりてえ」
と、その時だった。
「少年、強くなりたいのか?」
ふと、ドスの効いた男性の声がする。
「なら、俺様を抜け!!」
な、なんだ、この声は……。
「だ、誰だ!?」
「俺様は魔剣デーモンクレヴ」
「魔剣……」
魔剣が喋ってるってことか?
「お前に力を与える、だから、俺様を抜いてくれ」
何一つとしてわからない。
だが、本当に力をもらえるのなら。
俺は声のする方へと走り出した。
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