第23話
あの日からずっと雪くんに避けられている。
元々学年が違うんだから会う機会なんてないけど、廊下で、顔が見えたと思ったらすぐに反対に歩き出してしまう。
私が無神経なことを言ったせいだから仕方ない。そう思って私から近づこうとすることもやめた。
ある日廊下で女の子2人が話していたのが聞こえた。普段は気にしないだろうに、きっと聞き慣れた名前が出てきたからだ。
「そういえば、聞いた?」
「なに?」
「美術部の出来損ないの『先輩』、普通の大学に進学するんだって!」
「マジ?ようやく才能無いって分かったんだ」
「いや、進学する前でよかったっしょ。アレで大学もとかさすがに」
「――ねぇ」
それ以上先を聞きたくなくて。それよりも聞き逃していけないことが語られていて、たまらず私は声を掛けた。
女の子2人が振り返る。胸元には3年生のバッジ。ねぇ雪くんは今どうしているの?
「その話、詳しく教えて?」
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