プロローグ

第1話

「……もう一回、お願いします」




 忘れもしない、高校1年生の時のこと。



 写真部の部長、美花ちゃん先輩がとっても綺麗なお顔でにこやかに笑って一言。



莉子りこちゃんは写真向いてないわねぇ」



 私はといえば、引きつった笑顔のまま学習室の黒板を見やった。カラフルなマグネットで貼られた躍動感たっぷりな鳥の写真たちの中で、私の最高傑作はよく晴れた空だけを写していた。


 あーあ、テーマが『空』ならよかったのに。きっとそれでも一枚なんて決められなかっただろうし、多分そういう問題じゃないけどさ。




 思えば私の青春はここから始まった、んだと思う。多分ね。

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