炎上系ダンジョン配信者、有名美少女配信者を魔物から助けた結果、バズっていい人バレしてしまう。

さい

第1話 炎上系ダンジョン配信者

 俺こと新庄リュウガは目の前にある中に浮くドローン型カメラに向かって、


「はーい、どーもみなさん。荒らし家リュウガちゃんねるへようこそ」


 と、言葉を発した。


 このドローン型カメラは自動で俺を中心に撮影してくれる機械だ。

 ドローンで撮られている映像はそのまま、ニューチューブに生放送として流される。


 同接が1000、2000と増えていき、1万で止まった。


 現在、この日本ではダンジョン配信というダンジョン内をこのドローンで生放送するというものが流行している。

 俺は人気ダンジョン配信者だ。

 ダンジョン配信には様々なジャンルがある。

 シンプルに強い魔物と戦う、バトル系。

 宝探しをする、トレジャー系。

 顔を全面に売る、顔面系。

 そして、俺は、ダンジョン探索者や他のダンジョン配信者たちの邪魔をして荒らし、炎上する炎上系である。


"おっ、始まった"

"ちゃーす"

"今日はどんなことするんだ


「今日は二層に行くための階段に落とし穴をたくさん作って行こうと思いまーす」


"やばすぎだろ"

"おい、誰かこいつ止めてくれ"

"いいね!"

"死ね、お前みたいな荒らし家を徹底する法律できてほしい"

"怪我負わせたらどうするの?"


 俺への賞賛をする者がいれば、逆に罵倒する者もいる。

 ただ、そのおかげでここまで人気になれたのだ。

 いい感じにコメ欄で賛成派、反対派が喧嘩してくれる。

 おかげでコメ欄は盛り上がり、運営が人気生配信だと勘違いし、いろんな人のおすすめに流れるのだ。

 他にも、偽善者やストレスを持った者がストレス発散に来たりと、炎上系は効率よく人気になれるジャンルだ。

 かなり精神にくるけど。

 人気になれば金もたくさんもらえる。

 俺には稼がなくてはいけない理由がある。


「深さは五メートルくらいでいっか」


"いや、深すぎ、出て来れなくなるだろ"

"ここのダンジョン特定して誰かこいつを殺せ!"

"なんなら一生出れなくしてやろうぜ"


 その理由は、家庭が貧しいからだ。

 俺の両親は俺と妹と多額の借金を残して自殺しやがった。

 おかげで、俺は妹と二人暮らし。

 借金返済と金を稼ぐためにこうして炎上系配信者をやっているのだ。

 本当はこんなのしたくない。

 ただでさえ人が傷つくところを観るのがいやなのに、俺の手で傷つけなくちゃいけないだなんて。


 こうするしかないんだ。


 何度も何度もそう言って気持ちを落ち着かせる。


「ふう、このくらい作っておけば大丈夫! ちょっと隠れて誰か来るの待ってみるとしましょう」


 階段を囲むように落とし穴を六つ作った。


"俺知らね"

"ワンチャン、死ぬくね?"

"まあ、ダンジョンに潜れるんだし大丈夫だろ"

"早く誰か来ねえかな、楽しみだ"

"おっ、誰か来たぞ……"


 足音がする。


「はい、今日は五層で一時間誰にも見つからずに全裸耐久をしまーす」


 男の声がする。

 女だったらよかったのに。

 

「もし成功したらお前ら一人一万な!」


 ダンジョン配信者が階段を降りるために階段へ近づいたその時だった。


 俺の設置した落とし穴が発動し、ズドドン、と大きな音を立てながらダンジョン配信者は地面に落ちていった。


「うわああ、暗いよお、狭いよお、怖いよお」


 などと、聞き覚えのあるセリフを言い出すダンジョン探索者。


「ぎゃははは、おもれえ、おもれえええ」


"暗いよお、狭いよお、怖いよおってwww"

"本当、リュウガはあきねーや。ずっと見てられる"

"早く捕まってください。これ以上、被害を出さないでください"

"なんでこんな奴が生きてんだろ"


 ああ、黙れ黙れ黙れ。

 お前らに俺の何がわかるんってんだよ。 

 

 荒らし系配信者をやめたい。

 けれど、やめれば稼げなくなる。

 既に俺の身体はバイトなんて地道な稼ぎ方ができなくなってしまっているし。


 あー、どうすればいいんだろ。


 なんて悩んでしまった。



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炎上系ダンジョン配信者、有名美少女配信者を魔物から助けた結果、バズっていい人バレしてしまう。 さい @Sai31

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