第9話 帝国騎士ルージュ・フラム〜アオバラを求めて〜編④

「「「んー、美味しい〜」」」


 花姫たちと俺はスイーツと紅茶を楽しんでいた。女の子は甘いものが本当に好きみたいで、幸せそうに食べるのを俺はニコニコと眺めていた。


「クローバーはどうしてここに?」

【ダイヤに攫われたんだ】

「あ、騎士団を助けに来たとかじゃないんだ」

 ボソッと呟いた帽子屋の言葉に俺は反応する。

「話中にごめん。騎士団って聞こえたんだけど、それってーー」

「バラの騎士団だよ。姉様が所属してる」

「え?姉様?帽子屋はアオバラと姉妹なのか?」

「慕ってるだけ。血は繋がってない。わたしは人間だしね」

【ダイヤがなぜ騎士団を?】

「さぁ。なぜかは知らないけど、騎士団をダイヤが捕まえてるのは確かだよ」

【……そのことをクイーンは知っているのか?】

「たぶん知らないと思う。だから、救出するなら急いだほうがいいかもね」

【他に騎士団のことを知ってるのは誰がいる?】

「チェシャ猫だよ」

【……よりによってチェシャ猫、か。なら、確かに急いだほうがいいな。チェシャ猫はイタズラ好きだからな。情報をありがとう、帽子屋】

「いいよ。情報の見返りを気にするなら、姉様をわたしのもとに連れてきてくれたらいいから」

【連れてくるって約束するよ。騎士団はどこにいるんだ?】

「森の奥。気をつけてね、クローバー」

【ありがとう、帽子屋】


 ごちそうさまでしたと礼を言い、俺たちはお茶会を後にした。


「……クローバーがやっと帰ってきたね」


 ☆


「うさぎさん、なかなかみつからないね」

「そうね。やっぱり闇雲に探しても駄目なのかしら」

「何かヒントとかはないのかな?」


 困り果てているグラジオラスたちはため息をついた。知らない場所で知らない相手を探すのはやはり難易度が高いようだ。


 ーーコン。


「ーー痛っ。何これ?懐中時計?」


 頭に落下してきたものをひまわりが拾う。懐中時計にグラジオラスと美桜が反応する。


「あー、遅刻遅刻!忙しい!忙しい!あれ?時計がない!」


 高い声がする。声の主を探せば、すぐそばに白いうさぎがいる。


「うさぎさん、とけいおとしたよ」


 美桜が話しかけるとうさぎはびっくりしたのか飛び上がる。ひまわりはどうぞとうさぎに時計を渡す。


「ありがとう、親切な人!ごめんね、あたし、急いでるんだ!」


 びゅんと白いうさぎは走り去っていく。

 追いかけようと3人は頷くとうさぎの後を追った。


 ☆


「あれ?ここは……?」

「気がついたか、ヒガンバナ」

「クレマチスと……樹姫……?」

「面白いメンツになったものだろう?」

「そう、だね。……で、ここはどこ?」

「アオバラの絵だよ。本人は不在だがな」


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