第8話入れ替わり

「私こそみんなが羨ましいよ。高校生らしい生活が出来て」

「私こそ華やかな世界に憧れるわ。経験してみたいよ」

「一度でいいから、入れ替わってみようか?」

「なんてね」


笑い声がこだまする。

些細なことで、笑い合えるのも、青春の楽しさだ。


「お願い。一日でいい。私も芸能活動してみたい」

「こちらこそお願い。普通の女の子として過ごしたい」


瓢箪から駒。


一応、マネージャーだけには知らせておこう。

あっさりOKされた。


ストーカー・・・もとい、尾行には気が付いていた。

バレバレだって・・・


「しかし、こうも見分けがつかなくなるかな」

「小説なんだから、わからなくて当たり前か、安易だね」


「あっ、そうだ。トオルちゃん」

「何?真紀さん」

「もう放課後だから、学校生活はできないよ」


それがあつた。

でも、それはいい。

トオルが経験したいのは、普通の女の子としての日常。


「唯ちゃん、だっけ」

トオルのマネージャーが答える。


「今日の仕事はクイズ番組だけだよ」

それでいい。

カメラを前に、活動してみたいのだ。


気分が味わえればいい。

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