柚凪月の短編集

柚凪月

第1話 死を望む魔法使い

私はある魔法使いの付き人。

仕事を持ってきたり客人を案内したりしている。


私の主人は勇者一行の1人。

そんな人の下働いている自分に誇りを持っている。

わけではない。

理由は色々あるのだが、1番は…


コンコン


事務所のドアをノックする音が聞こえる。


私「はーい」


ドアを開ける。

大柄な男が立っていた。

服越しでもわかる恵体。


強い。

少なくとも私よりも。


男「ミラージュはいるか?ポスターを見てきたんだが」


私「少々お待ちください。せんせーーい!!」


返事はない。また読書に夢中な様だ。

先生こういうところが嫌なのだ。


研究熱心なんて聞こえのいいものではない。

不可能な目標を信じ実験をくりかえす狂人。

それが大魔法使い、ミラージュ・ディーノフなのである。


実験室、と赤いペンキで書かれた部屋の戸を開ける。


私「先生。お待ちどうの挑戦者さんがいらっしゃいましたよ」


先生「…あァ。やっと終わりかねェ」


数分後_。


緑の草原、攻撃体勢の男、鎖でぐるぐる巻きの箱…。


男「本当にアイツを殺したら1000万何だな!?」


私「そちらの箱…、金庫なのですが、その鎖は先生の魔力で出来ています。

  先生が亡くなり、魔力が消えれば金庫が開き、賞金を手に入れられるのです」


先生「早くこいよー」


男「よっしゃァ!!!」


男が高速で先生に近づき、顔面に突きを打ち込む。

間髪入れず足に蹴りを入れ、一歩下がり頭から突っ込み頭突きを加える。


目で追えるのはそこまでだった。

拳や蹴りの嵐、連打、雨あられ。


ズドドドドドドドドガアアアアアアアアアキキキズギカアアア!!!!!!


20秒ほどで轟音が一瞬止み、空気がグワンと動いた。


男「らっしゃあああああああああい!!!!!」


ズドオオォォ……ン!!!


物凄い突きが先生の腹に入る。

先生はピクリとも動かない。


私「やっぱりか…」


男「なッ…!?」


そう、ピクリとも。


1mmも吹っ飛んでいないし、後ずさってもいない。


無傷だった。


先生「貴方、手とか大丈夫?」


男「はぁ…はぁ…え?」


私「先生の体に思いっきり殴るのはコンクリートを突くのと同じ様なものなんです。

  貴方は頭を突いていましたので、アドレナリンが切れてきますと…」


男「死ぬ…ってか?ハハハ…そんなバカな…」


先生「また死ぬために研究しなくちゃなあ」


私「これ以上部屋を汚さないでくださいよ…。

  しかし魔力で丈夫すぎる体というのも恐ろしいですね。

  寿命でも死ねず呪いでも死ねず、物理攻撃も無理とは」


先生「ハハ。ある意味あの男が羨ましいね。君もそう思うだろう?

   死ねない体は同じなんだから」


私「貴方のせいですよ?全く」


男「痛あああ!!!助けえええええjsmshしぇんhdgxhjdんshsbんbsんshshsっmshdんmsjshんさgしゃbはshjすあjかうsksっjs!kす」

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