第1話

「誕生日おめでとう祐樹」


そう言って来たのは幼馴染の尊だった


「ああ、ありがとう尊」

「なあ祐樹、次の休みに富士山行かないか?」


こんな会話から始まることを想像することなんでできなかった。


3日後2人は富士山に登っていた

もうすぐ頂上だというところ


「はぁはぁ

 おい尊、お前疲れないのか?」

「運動部を舐めるでない!あと祐樹の体力がないだけだ」


はぁ、もう少しは運動しておくべきだったな。家に帰ったら何をしたらいいのか教えてもらうか。


「祐樹、もう頂上だぞ!」

「ああ、やっとか」

「いい景色だな」

「俺はそれどころじゃないぐらい疲れたけどな」

「俺はまだまだ行けるけどな」

「羨ましい体力だこと」

「富士山の頂上って意外と何もないんだな」

「知らずに来たのかよ!?」

「ああ、楽しみを減らしたくないからな」


...ん?

空が割れてる


「おい、尊!あれ!...空が割れてる」

「あ?」

「空が割れるなんで馬鹿なことを。疲れ過ぎで幻覚でも見えてるんじゃないか?」


いや、あれは確かに割れている。見間違いなんかじゃない


......周りの人の反応を見ても本当に見えてないのかもしてない


「見えないのか!?」

「見えるも何もなにもないじゃんか」

「見てみろよ、きれいな空が広がってるだけだぜ」


そう言われてもう一度空を見たとき

【空が壊れた】

黒い黒い宇宙でもない未知のなにかが広がって,,,飲み込まれた


......何も見えない。

......何も聞こえない。

......全身が痛い。


このまま助からないと考えるだけでだめになりそうだ。


痛い、怖い、

あの空は何だったのだろうか


何日経っただろうか?

実際にはそんなに経ってないのだろうか?

そんなことを考えていたとき



......痛くなくなった?


目を開けると眩しい


そこは富士山の山頂だった。

しかし同じではなかった。

そこから見える景色は建物は崩れ落ち見えなくなり森は生い茂りまるで文明などなかったように荒れ果てていた。

もしかしたら過去にでも来たのかもしれない



......尊は大丈夫なのだろうか?

「おーい、尊!」

「尊!いるなら返事をしてくれ!」


...やはりいないのだろうか

そんな思っていたときに声をかけられた


「うるさいな」

「少しは静かにできないのか」

「!!」

「お、お前誰だ?」


そこに立っていたのは...狐耳の少女だった。


「妾の名は #&*?"&%!$ だ」

「...は?」


名前のところは何も聞き取れなかった


「...やはり聞き取れないか」

「では神楽とでも呼んでくれ」

「貴様の名は?」

「ああ、俺は祐樹だ」

「ところで祐樹よ、なぜここにいるのだ?なぜここにいられる?」

「どういうことだ?」

「俺は友達と富士山を登って...それで空が割れて」

「!」

神楽は驚いたような、それでいて納得したような、そんな表情をした


「空が割れた...」

「それなら魂の歪みの意味もわかる...」

「魂の歪み?」

「祐樹よ、貴様はもしや3000年前から来たのか?」

「3000年前?」

「確か...西暦2000年辺りと言えば通じるか?」

「ああ、俺がいたのは2024年だ」

「3000年前だって言ってたよな?」

「その辺りのことも説明する。ついてこい」


そう言って神楽は歩き出した

説明もしてほしいが今はついていくしか無さそうだ


どうやら神楽は歩きながら説明してくれるようだ


「ここは貴様が生きていた頃から3000年ほど経っている」

「3000年...」

「実感できることもあるのではないか?」

「例えば景色が変わっていたり」

「!」

「どうやら覚えがあるみたいだな」

「祐樹、貴様は空が割れたと言っておったな」

「それが全ての始まりだ」

「どういうことだ?」

「空が壊れた。蟲と呼ばれる生物の天敵が現れた」

「この日本は島国だから多少ましだ」

「だが大陸などはもう蟲の巣だ」

「人など生きていける環境ではない」


「そして、それと同時に妾たち刀も現れた」

「刀?」

「ああ、貴様の思い浮かべているものであっているだろう」

「でも妾たちって」

「現れた刀には魂や伝承、意思が宿る」

「妾は3000年存在した。実在するものとして現れられるぐらいには力をつけた」

「...話が逸れたな」

「刀があれば特殊な力が使えたり体が強化される」

「現れたばかりの刀でも弱い蟲となら戦えるであろう」

「人間とは哀れなものよ」

「協力すれば生き残れる物を自分だけ助かりたいがために奪い合い殺し合い」

「刀を持っていたとしても他の神刀...神刀は刀を持っているものの呼び方だ【刀を持つものは自身も刀のように】のような意味でつけられたそうだ」

「たとえ神刀だとしても他の神刀や大勢の人間には負ける」

「蟲は神刀に寄ってくるのに助け合わないなど哀れなことよ」



「ついたぞ」

「え?」


連れてこられたのは紅い刀身の刀が鎖で縛られている洞窟だった。

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