第20話 特別

親が大量にもってきたおやつを

消費できず

カナエちゃんの、部屋でお菓子パーティーを

開いた。


もちろん、カナエちゃんは食べない。


「なんで俺まで」

と、リョウさんが不満げに呟いた。


「みんなで集まるほーが

楽しーじゃん?」

リサさんがポッキーを食べながら言う。


ユウさんが飴を見つけて

これちょーだいというのであげた。


カナエちゃんに小さい

チョコレートを見せて

「食べてみる?」と、ダメ押しで言ってみた。


すると、そのチョコレートを

手に取り首を傾げながら見て

そっと、口に入れた。


その瞬間、部屋にいた全員が

驚いた顔をして言葉もでなかった。


「カオリ!カナエに食べさせるなんて!」


「カオリちゃんは神の手を持っているねえ〜」


カナエちゃんが食べ物を

口にしたのだ。

自分でもびっくりだった。


「美味しい?」と聞くと

カナエちゃんが腕にくっついて来た。


「これで、少しはごはんも食べれるよーに

なれるかもだねえ!」

と、リサさんが言うと

カナエちゃんは首を傾げた。


もちろん、その言葉看護師にも

伝わり何故か私はとても褒められた。


夜ご飯が終わって、部屋で

休んでいると

リサさんが隣に座ってきた。


あのキスの件もあったのでなんだか

はがゆい。


「カオリは、きっと特別なんだね」


「え?特別?」


「詳しくはわかんないけど

きっと、そう。すごいよ」


よくわからなかったが、

リサさんが言うならそうなのか、なんて

考えていた。


「ちょっと、リョウのとこ行ってくるね」

そう言ってリサさんはいなくなった。


ふと芽生えた気持ち。

リサさんの特別でいたい。

なんて、言えるわけもないのだけど。

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