第11話 リョウという人間
「作業療法終わったらちょっと
付き合ってよ」
と、リサさんが言う。
「はい、大丈夫ですよ」
まだ敬語なのーとブツブツ言っている。
結局リサさんの金髪のことも
聞けてなかった。
「リサさんってそれ地毛ですか?」
「ん?そー見える?」
「余りにも綺麗なので…」
「はーい、今日の作業療法は終わりでーす」
終わりの合図がしてみんなそれぞれ
片付けをする。
リサさんは割り算のプリントを
部屋に持ち帰っていた。
「カオリ、こっちこっち」
と、呼ばれて着いていく。
コンコン。
マツバラ リョウト、書かれている。
男の人は正直苦手だ。
余り関わったこともないし
クラスの男子も話したことない。
「リョウ!はよ出てこい!」
「俺の睡眠を邪魔すんなよ」
あまりにも自分より身長が大きくて
びっくりした。
「あれ?また背伸びた?」
と、リサさんが笑う。
「185って何回も言ってんだろーが」
「あ、この子カオリ。新人だよ」
「ふーん」
興味なさそうにそのリョウって人は言った。
「うちら、運命的にも同い年なんだから
なかよくしろっての!」
「え、そ、そうなんですか」
「リョウはいいやつだよ、不器用だけど
こいつはなんでここにいんのか
わかんないけどねー!」と笑う。
「リサ、俺のとこ来たってことはまたあれだろ」
あれ、ってなんだろと思っていると、
「ほら」
と、リョウさんがリサさんに
錠剤を渡す。
「新人ちゃんの紹介もかねて、これってわけね」
なんの、薬なのかわからないが
ぽいっとリサさんが口に入れた。
「大丈夫なんですか」
「カオリだっけ?このやり取り看護師
とかに告げ口したらコロス。」
ビシッとおでこをつつかれた。
「…言わないです」
同い年で、185cmで、リサさんと仲良し。
ほんとにココは不思議な人ばかりだと思った。
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