The bridal night 1
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今回からは番外編!
二人の初夜編です♡
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ずっと待ち望んでいたことなのに、いざその時になってしまうと、途端に足がすくんでしまうことって、実際あったりするだろう!?
――まさに、今の俺が、ソレ!
「ククリ……」
目の前の誰よりもカッコよくて、もう素晴らしいの一言につきる俺の夫、アスランがそっと目を閉じ、俺に頬を寄せてくる。
「……っ!!」
俺の背中にはアスランの両手が回り、その温かい体温や息遣いがダイレクトに伝わってくる!
アスランの吐息が俺の唇にかかり、まさに唇と唇が触れあおうとしたその瞬間!
「ちょ、ちょっと、待って! アスランっ、やっぱり俺っ、まだ心の準備がぁあああっ!!!!」
俺は逞しいアスランの胸板を力いっぱい押し返し、大声で叫んでいた!
――チキンな俺。ここに極まれり。
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空は快晴、海は何処までも凪いでいて……。
船酔いなんてする暇もないほど、イチャイチャと船上で密着し続けた俺たちは、日が落ちた後に、船内で海鮮をメインとした美味しいディナーを食べて、あまーいデザートも楽しんで……。
そして……、
「すごっ、星空、めっちゃキレー!!」
海のど真ん中、明かりの消えた甲板から見えるのは、まさに「振るような星空」!
「……でも、ククリの方が、綺麗だよ」
隣に立つアスランの低い美声が、俺の耳をくすぐる。
そんなありえない口説き文句……! それなのに、アスランが言われたら、めちゃくちゃ嬉しい俺!
――ヤバイ、アスランが好きすぎて、俺、かなりチョロくなってる!!
「それに、どんなに綺麗でも、星空なんて、俺には全然目に入らないよ……。
ククリ以外……」
「アス、ラン……」
深い紫色の瞳には、俺だけが映っている……。
「ククリ、もう待ちきれないんだ……、部屋に戻っても、いい?」
ぐっと強く腰を抱かれて、アスランの熱のこもった目で見つめられたら……、
「うん、いいよ……」
断れるヤツなんて、この世にいるわけない!
アスランはほほ笑むと、そのまま俺をお姫様抱っこして、俺たちの部屋のあるフロアへ降りて行った。
船室の扉は、俺を抱いたまま、脚で蹴り開けて……、
――うん、まさに初夜に向かうイケメンスパダリそのもの!
少々荒々しくベッドに落とされた俺。
そして、もうすでに情欲をかくしきれていないアスランが、そのままベッドに乗ってきたのだったが……。
(冒頭に戻る)
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「ククリ、怖い?」
俺を落ち着けるためか、俺と並んでベッドに腰掛けたアスランは、俺の肩をそっと抱いた。
「怖い……とか、そんなわけじゃ、なくて……」
いや、嘘だ!
今俺は、猛烈に怖気づいている!!
いくら前世を思い出したとはいえ、前世においても性的経験ほぼゼロ! そして、今生においては、幼い頃よりあらゆる性知識から遮断され、まるで穢れを知らぬユニコーンのように育てられてきたのだ。
アスランと結ばれたい、と願う一方、今からしようとしている行為への生々しい恐れが、ずしりと俺の両肩に重くのしかかってきていた。
だって、だって、この流れだと、絶対俺が抱かれる側でしょ!?
ってことはさ、アスランのあのとっても立派な(※想像)ナニが、俺の……。
ヒィーっ!
なんていうか、いろいろ、物理的に無理がある! 絶対に!!!!
ああっ、無駄に前世の知識がある自分が恨めしいっ!
何も知らないユニコーンのままだったら、そのままアスランに全部ゆだねて、いろいろあっという間に終わっていたかもしれないのに!!
「俺は、待てるよ」
アスランの言葉に、俺はまじまじとアスランを見た。
「でも……」
「ククリの心の準備ができるまで、俺は待つ。だから、ククリ、心配しなくていいよ。
今日はこのまま、一緒のベッドで寝よう? 大丈夫、何もしないよ」
「アスランっ!!!!」
このアスランの鋼の精神力よ!!!!
俺が18歳になって、おままごとみたいな結婚式を挙げて以来、性的なことに全く関心のない以前の俺に悟られないよう、荒ぶる性欲をすべて抑え込んでいたアスラン。
俺だって男だからわかる! 健全な肉体をもつ18歳の男子が、どれだけ「ヤリたい盛り」かということを!!
それを俺というやつは、女装してアスランの周りをずっとチョロチョロしたあげく、2年も待たせて、それでやっと迎えた今日という日に、みっともなくも怖気づいて……。
俺は膝の上に置いた手を、ぎゅっと握り締めた。
「やっぱり、ダメ……」
「え……?」
「駄目だよ! アスラン! 俺が、待てないっ!」
俺はそのまま勢いよくアスランの首に抱き着いた。
「ククリっ……!」
「ちょっと、ほんのちょっとだけ……、気後れしてるだけ……、だから……、
お願い、アスラン……、アスランが、ゆっくり、優しくしてくれたら……、大丈夫、だから……」
俺がアスランの肩口に顔をうずめると、
「ククリっ、わかった。大丈夫だよ……。
ククリが怖くないように、ゆっくり、しよう。
あと……」
俺の背に手を回し、アスランは寝台にそっと俺を横たえた。
「すごく、優しくする……」
アスランの紫の瞳の奥が、揺れる。
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