第128話

「なにこれ。お前同じメンバーなのに何あの不二海クズと星來の距離近づけさせてんの。」


「……クズ同士のほうが理解できるでしょ。これはどういう心境で撮った動画なの?」


「一度でいいからこの女優とえっちしたい。って心境。」 

 

「あんたに聞いた僕が馬鹿だった。」



変わって、バラエティ番組のスタジオ。



心理戦ゲームバラエティ『君しか識らないマインド』。



その控室。朱朗と一弥はそれぞれのスマホで、UPされたばかりの、不二海と星來のダンス動画を見入っていた。



「かわいいな……」



ふと、朱朗がつぶやく。



「不二海が?」


「んなわけあるか」


「星來がかわいいのは今に始まったことじゃないよね。」   


 

一弥が無表情でスマホをスクロールしていき、ある画面を朱朗に見せつけた。



「…………は、」


「彼女とおうちデートなう。ってね。」


「ちょ、な、待てなにそ!」


「かわいいよねー?」


「……かわいいよねー」



一弥が見せたのは、星來の写真集のオフショット画像。ビリヤード対決で手に入れたもの。もちろん下着姿のものだった。



そして二人は腹の内で同じことを考えていた。



「「(殺す!)」」



この心理戦バラエティ番組は、毎回芸能人がさまざまなゲームをして勝敗を決め、勝った方は負けた方のポケットマネーで10万円獲得できるというものだ。



しかしこのゲーム、ただ白黒つけるものではなく、心理戦が主となる。お互い相手の真意をつくため、質問し合いながらゲームを進めていく。

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