第126話

不二海が、紅茶のパックをカップに入れて、それからテーブルに置かれたシュガースティックを手にする。



「あ、私お砂糖いらない。」



しかし不二海は、シュガースティックを3本取り、一気に3本分の砂糖をカップの中に入れた。



「…………」 


「最悪な女は砂糖で甘くすればいいかな?」


「ありがとう私を悪役にしたいエセ俳優の不二海くん。」

 


前は最悪な女が大好物だと言っていた不二海だが。もしかしてメンバーをもてあそぶ女は例外だとでも言いたいのだろうか。



なんとも幼稚な嫌がらせだが、星來はカップを手にすると、そのまま熱い紅茶を冷ましながらも、全て飲み干した。



「ごちそうさまでした。」



砂糖が嫌いなわけじゃない。ただ体型維持のために気をつけているだけだ。



久々の砂糖摂取に頭が冴える。と小さく手を合わせ、カップを簡易キッチンの小さなシンクに置く星來。



嫌われているなら仕方がない。このまま控室を出て違う場所で休憩しようと、部屋を出ようとした。



「……最悪な女?そんな女には見えないんだけどねえ。」


「…………」



ドアに手をかけていた星來は、不二海の方を振り返る。すると不二海が、星來の方に近付いて言った。



「別に俺は一弥を゙もてあそぼうが気にしないよ?」


「え?」


「だって俺も散々女の子をもてあそんできたから。意地悪してごめんね。」


「……アイドルのクズ。」


「元クズね。今はもうそういうの面倒だから。」


「……もしかして、好きな人ができたからとか?」


「まあ、そうかもね。ただ叶わない恋だけど。」 


「……一緒ね。私も、そう。」  

  


不二海佐里は、RainLADYの元マネージャーに恋をしていた。

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