第115話
「ねえ、これキャロットケーキって言った?」
「うん。」
「キャロットケーキってスパイス色々放り込まれてるやつっしょ?」
「うん。」
「すごいね、スパイスが全部殺されてる。」
キャロットケーキを無理に何口か食べた朱朗。
星來が朱朗に辛辣な顔を向けると、朱朗は甘さに耐えきれず、苦虫を噛み潰したよう顔を向けた。
星來のマンション。今日はバレンタインだった。ぎりぎりバレンタインを越えそうな夜の11時ではあるが。
《バレンタインデーとは、女性が男性にチョコレートを贈り愛を告白する日。日本の文化。》
そう朱朗からメッセージがきたのは、バレンタインの3日前だった。
それに対する星來の返信。
〈ただし愛と無縁の義理チョコの場合も有。義理にも見返りが期待される。〉
バレンタインは本命チョコよりも、義理チョコの方が需要性があることを忘れてはならない。
マネージャーやこれまでお世話になったスタッフ、よくしてもらった共演者、今現在撮影中の関係者に、ばらまき用のチョコレートを用意していた星來。
しっかりと朱朗の分も用意していたのだが。
ある日の出かける際、星來はマンションのロビーでいつもの人物に引き留められた。
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