第69話

「それにうちの敏腕鬼マネージャーが解雇されたでの。もしかしたら星來ちゃんとの共演も近い将来叶うかもしれんわ」


「あの貞子みたいな女マネージャーね。あの人のお陰でRainLADYがトップアイドルになれたんじゃねーの?」


「まあなあ。敏腕すぎてその脅威を恐れたサニーさんの本妻が解雇したようなもんだけんね。」


「やだやだ、黒い業界事情って。」


「『白い巨塔』といい勝負やなあ。」



RainLADYをトップにまで立たせたその影には、とある女敏腕マネージャーの存在があった。



彼女はなるべくRainLADYのイメージを崩さぬようにと、中学から同じ学校に通う星來と一弥を、いやRainLADY自体との共演をNGにしてきた。変な噂が立っては元も子もないからと。



しかしその女敏腕マネージャーは解雇されたため、共演NGの壁もとっぱわれるかもしれない、というわけだ。



「まあ、その近い将来がきたら星來と連絡先交換すれば?」


「それがいつかがわからんけん朱朗に聞いてんだよ。幼なじみなんやろ?」


「むしろ笑えない王子に聞いたら?」


「聞いてもお前と一緒で教えてくんない。」


「あいつが今初めていいやつだと思えるわ。」


「一弥ね。絶対零度の笑わせたくなる王子。」


「笑わせてどーすんのよ。」


「…てか星來ちゃんと朱朗ってどんな関係なん?彼氏ちがうよなあ?」



朱朗が椅子の横にあるペットボトルに手を伸ばし、はぐらかそうと水を飲む。彼氏だとはっきり言えたらどんなにいいか。

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