Day 2.

第141話

10:25PM。

コインランドリーに来た。

洗濯機に洗濯物を入れてコンビニへ向かう。

缶ビールとおつまみを買った。


ついでにチョコレートも買う。


白いラムレーズンチョコ。

記憶の中の"あの子"は笑っていたけれど。

今日の君はどんな顔をするだろうか。


・・・


コインランドリーに戻る。

まだ誰もいない。

僕以外の洗濯物が回っていた。


それを確認したところで、ドアが開く。

同時に君が入ってきた。



「 あれ?これ、洗濯まわしてるのユウミ?

他の人がまわしてるのかと思った。

お疲れ様。僕も買ってきたよ。飲もう。 」



『 ごめん。お待たせ。 』



「 全然。今日は来ないのかと思った。

この前、僕が急にあんなことを言ったから、

純粋なユウミは考え直したのかなって。 」



『 いや、私も願ってもない話だったから。

さすがに、結婚前に一度くらいは恋愛経験を

積んでおきたかったし。 』



余裕な発言をする君に少し苛つく。


まぁいい。

どうせ僕のものになるんだ。

どうやって落としてやろうか。


そんなゲスい思考を必死に掘り起こし

平常心を取り戻す。



「 それなら良いんだけど。

とりあえず、座りなよ。乾杯しよう。 」



焦ってはいけない。

これから僕は、君との"完璧な運命"を

作り上げなければならないんだ。



『 お疲れ様。来てくれて嬉しい。

リョウジにすごく会いたかったから。 』



僕の真っ黒い心情を知るはずもない君は

相変わらず可愛いことを言う。



「 そんなこと言うの?本当に恋愛初心者?

今までよく誰にも捕まらなかったね。 」



無垢とは罪だ。

本当によく誰にも捕まらなかったなと思う。

むしろその事実が"運命"ではないか?

僕と結ばれるために、誰にも捕まらなかったのではないか?


なんて。

"運命"に縛られているのは君ではなく

僕の方かもしれない。


そんな考えが頭をよぎる。



『 だって、恋人ってこういうことでしょ?

甘い言葉を言い合って、スキンシップをはかる。別れ際はハグをする。

それはこの前、リョウジに教えてもらった。 』



君の言葉にまた翻弄される。

結局、また落とされるのは僕なんだろうな。

諦めに近い感情に、笑いが込み上げてくる。



「 学習意欲がすごいね〜。 」



どちらにしろ、可愛くて仕方ない君の発言に

僕は笑いながらそう返すしかなかった。

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