第125話

「 あ、急にごめんなさい。

今、5000円札しか持ってなくて。

両替ができなくて、困っています。 」



懐かしい記憶に浸って感傷的になった自分に

すかさずフォローを入れる。

慎重にいかなければならない。


なぜなら、これから僕たちは

"運命の恋"に落ちなければならないからだ。



『 ありますけど、1000円で大丈夫ですか? 』



不思議そうな顔をしながらもお金を貸してくれる君。



「 すごく助かります。ありがとう。 」



・・・


やっと会えたんだ。

このチャンスを逃してはいけない。


君が広げたお酒とおつまみを見ながら

次の一手を考える。



「 晩酌、いいですね。僕も飲もうかな。

5000円をコンビニで両替してくるので、

ついでに僕もビールを買ってきます。

良かったら、一緒に飲みません? 」



僕の気持ちなんてこれっぽちも知らない君は

間抜けな声でそう返事をした。

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