第91話

「 じゃあ、私に拘ったって言っていたけれど

そうじゃなくて、私の"事情があるところ"に

拘ったってこと? 」



リョウジは吹っ切ったようにニコッと笑う。



『 そういうこと。 』



呆れた。

何それ?

今までの時間、全部嘘なんだ。


呆れた。呆れた。


でも、泣かない。

こんな最低な人のために絶対に泣かない。



「 そっか。 」



他に言葉が見つからない。



『 だからさ、ユウミ。


もう、家に帰れ。

運命から逃げることなんてできない。 』



・・・


言われなくても、それしかない。

帰るしか、私には道はないじゃない。

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