第90話
「 茶番ってなに?どういうこと? 」
意味が分からず、精一杯、何ともないフリを
して聞き返す。
『 だから、こんな恋愛ごっこ。
駆け落ちとかで盛り上がるの、やめよう?
良い大人なんだし。 』
リョウジが冷たく笑う。
「 急にどうして? 」
『 急じゃないでしょ。
ユウミにはタイムリミットがあるから
僕にしてみれば、都合が良かった。
最初にここで会った日に言った通りで、
ユウミにも事情があったのと同じように
僕にも事情があった。
要するに、利害関係が一致した。
だから、ユウミと付き合ったんだよ。 』
何も言わない私に、リョウジは続ける。
『 それに、こんなことしてても解決しない。
お互い自分の運命に向き合うべきだ。 』
リョウジが言っている言葉自体は冷たいけど
口調はいつもと変わらず優しい。
どうして?
そんなに酷いことを言うのであれば、
いっそ、突き放してよ。
運命ってなに?
何の運命?
結局、最後まで核心は言わないのね。
・・・
リョウジは残酷だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます