第81話

「 じゃあ何か良い方法を考えてよ。

それとも、リョウジは私と居たくないの? 」



そう言う私に、緩い笑顔を向けるリョウジ。



『 居たいよ。

だからもっとユウミよりも浅はかで、

幼稚で、非現実的なことを考えてた。 』



「 何? 」



『 例えば、誘拐しようかな〜とか。 』



そう言って、ニヒルに笑うリョウジ。



「 ゆ、誘拐して、、それで? 」



『 それで、海外に逃げる。 』



「 海外って、どこ? 」



『 プノンペン。もしくは、ムンバイ。 』



「 私、両方好きじゃない。 」



『 だからだよ。 』



少年っぽい顔で笑うリョウジ。



『 ユウミの好きな国に行ったら

すぐに見つかるでしょ?

だから、僕ならその逆をつく。


僕が本気でユウミを誘拐するんだから。


それに、カンボジアもインドも独特だから。

ユウミと僕の人生とは、かけ離れた場所。

2人で新しい人生の幕を開けるのであれば

ある意味ロマンチックな国だと思うんだよね。 』



・・・


少年の顔で悪戯に笑っていたリョウジの顔が

私の唇に近付く。


あっという間に食べられてしまいそうな

色っぽくて優しいキス。

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