Day 12.
第80話
1週間ほど過ぎ、3月6日になった。
あれから欠かさずコインランドリーに来ている。
もちろんリョウジも。
今日も他愛もない話をしながら晩酌をする。
一つだけ変わったこと。
それは、リョウジの核心をつくのをやめた。
彼の心の中にまだ他の誰かが居ようと、
私に近付いた何かしらの意図があろうと、
もう、どうだっていい。
私はこの人と一緒にいたい。
本能でそう思うんだもの。
もう、仕方がないことだ。
『 ユウミ、何考えてる? 』
そう言いながら、優しい目をするリョウジ。
「 ん?リョウジと離れたくないから
駆け落ちしようかな〜って考えてた。 」
私は挑発するように微笑む。
いつもリョウジに主導権を握られているのは
面白くないから、たまには困らせたい。
なのにリョウジはクスクス笑う。
『 駆け落ち?良いんじゃない?笑
でも、ユウミにそんな度胸あるの?
僕と逃げて、それで? 』
苛つく。
そんなの、あとで考えればいい。
とにかく家に戻らずに済むのなら
私は駆け落ちぐらいしたいのだ。
「 それで、、とりあえず一緒に住む。 」
『 どこに? 』
「 どこにって、、
誰も知らない土地、、とか? 」
リョウジはついに吹き出した。
『 今の日本に誰も知らない土地なんてある?
それに土屋ファミリーの情報網にかかれば
僕たちなんて、一瞬で捕まると思うよ? 』
リョウジのその言葉で、結局私が困ってしまう。
この人はどうしていつも現実的なんだろう。
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