第75話

帰り道の車内。


あれから、ほとんど無言だ。


リョウジとの初めてのデートなのに、

あんな残酷なことを知ってしまうなんて。


"リョウジは目的があるから私に近づいた"


好きなのに。

ただ、好きになっただけなのに。


それなのに、リョウジには事情があって。

その目的のために、私の恋人をしている。

単なる業務でしかないのだ。


そんなことを考えていると、虚しくなって

涙が溢れてきた。

堪えきれなくて顔を手で覆う。声が出る。


好きになるって、こんなに辛いの?


・・・



『 ユウミ。少しドライブしようか。 』



「 うん。 」

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