第71話

じゃあ教えてよ。

そんな思いを込めて、リョウジを見つめる。

瞳が一切ブレないリョウジ。


リョウジも、本気だ。


意を決したように、1つ目の謎について

話し始める。



『 政略結婚については、知っていた。

ユウミが逃げたことも。土屋ファミリーは

有名だからね。噂はすぐ耳に入る。 』



私が逃げたところまで知ってたの?

どういうこと?

最初から、リョウジに仕組まれたことなの?



「 じゃあ何?わざと私に近づいたの? 」



リョウジが少し考えて、答える。



『 わざと近づいた、と言うべきなのかな?

"本能"だった、と言った方が正しいけど。

ユウミを見つけるのに苦労した。 』



そう言って、苦笑いするリョウジ。


何?それ。

理由はなに?

まさか、両親の仕業?



「 私の両親に頼まれて、見張ってるの?

それ以外考えられない。目的はなに? 」



それだと、全て説明がつく。


さえないコインランドリーに

爽やかなリョウジがやって来たことも。

初めて会った日に恋人になったことも。

変な男性を近づけなかったことも。


私を見張って、何事もなく両親の元に

帰すためだとしたら。

それがこの人にとって、

何かメリットがあるとしたら。


辻褄が合う。



『 ユウミの両親に頼まれた?そう考えるの?

ユウミを見張って、僕のメリットはなに? 』



そうだ。この人のメリットは?



「 私を家に連れ戻したら、大きなお金が

手に入る、、とか? 」



リョウジは、鼻で笑った。

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