第63話

2月25日、水曜日。

16時30分。

パートタイムが終わる。


これから、リョウジと初めてのデートだ。


一旦家に帰って準備をする。

楽しみなのはもちろんなのだが、

素直に喜べない自分がいる。


昨日のことをずっと考えてしまう。


私とのことで何か企んでいるとするなら

恐らく政略結婚のことだろう。

それ以外に思いつかない。


しかし、いくら考えてもそれ以降の想像が

できないのだ。


お見合いのことについて"何か"を知っているとして、、で?

私の政略結婚をぶち壊したい、とか?

でも、それは何で?


この前、朝ご飯のことで引っかかっていたが

まさか私のことを前から知っているとか?

プチトマト入りのハムチーズエッグなんて、

まぁ被らないだろう。

だとしたら、どこで会った?


いや、待って。

あんなにイケメンの男性に会っていたら

さすがに私でも覚えていると思う。


そもそも私じゃないのか?

視点を変えてみる。


お兄ちゃんと同い歳だから

大学が同じで2人に何か確執があって、

その恨みで、私の家族をめちゃくちゃにしたい

とか?


あり得る。

兄は腹が立つほど優秀で、

人をちょっと見下すところがあるからだ。

反感を買うことはいつものことだし。


いや、兄はそもそも東大の理三卒だ。

リョウジがそこの出身なのであれば、

フリーターな訳がない。


もしかして、フリーターが嘘なの?


・・・


駄目だ。

最近、小説を書いているせいか、

妄想と想像が無限に広がりすぎる。

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