第37話

「 塚本くんって彼女いるの? 」



『 いませんよ。土屋さんは? 』



「 いない。好きな子はいるの? 」



『 いませんけど。珍しいですね。

そういうこと、聞いてくるの。 』



「 ずっと、良いなって思ってたの。 」



『 え?ホントに?何で? 』



「 だって、塚本くんかっこいいし。

優しいし。背も高いから。 」



『 土屋さん、本気で言ってます? 』



「 本気で言ってます。 」



『 今晩、暇ですか?ご飯、行きません? 』



男の人と恋愛目的でご飯に行くのなんて

初めてだ。

これはまだ教えてもらっていないけれど、

"普通の恋愛"はこう始まるのが自然だと

そう思った。

会った日に付き合う方が変だ。



「 いいよ。行きたい。 」



たくさん誘惑して、彼を落とす。

そしてハグをして、キスをして。

リョウジがまだ必要ないと言った、

その先まで。


私が知らない世界まで、行ってみたい。


触れたい。

塚本くんに、触ってみたい。

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