余韻

第12話

2月13日。

今日は平日だけど、まだまだ寒いこの時期は

処方箋で忙しい。


ランチタイム。

ふと、昨日のことを思い出す。

引っ張られる力。

抱きしめられた温度。

私より頭ひとつ分ほど上から降ってくる

低くて優しい声。

思い出して、少しだけドキドキする。

その感情をパソコンに打ち込む。

ほんの数行だけど、実際に体験したからか

文章から現実味が出ている気がした。


今まで感じたことのない気持ち。

何だろう、、心の中を見られているような

そんなくすぐったい感じ。

恥ずかしい。


どうせ誰も読んでいないんだ。

私が体験したことを、そのまま書けばいい。

躊躇せずにパソコンをたたいた。


週刊誌だから、頻繁に期限がある。

今日も何枚かの原稿をメールで送った。


・・・


そろそろ仕事に戻ろうかな。

カフェの席を立つと、

目の前を幸せそうなカップルが通り過ぎて行く。


リョウジ、明日も来てくれるかな?

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