第48話

琉生は3人の悪党を蹴散らした後、心陽に熱いディープキスをかまし、その場でヤってしまうのだ。(結局やるんか)



『好きだ好きだ好きだ心陽!』

『あああ~~~ッッるいィィ』



 いいぞどんどんやれもっとヤれ!!ハアハア。



 高校時代、私がどんなに頑張って2人をくっつけようとしたことか!!心陽君と琉生を体育館倉庫に誘きだして閉じ込めたこともあったし、心陽君が不良にレイプされるよう仕向けたこともあった。


 でも全部失敗に終わり、今日まで心陽君と琉生は不仲····いやもう今では無関心に近いくらい関わりのない関係になってしまっている。


 この際秋人でも蓮見先輩でも犬でも猫でもいいから心陽とヤったって下さい。



 かなり脱線してしまったが、とにかく漫画の中の琉生は顔面も中身もイケメンなのだ。


 でも今私の後ろにいる琉生は、これ。



「···朱南···、やっぱ俺って、ダメ人間だよな···。」



 さっきまで先生に向かって威勢を放っていたはずの琉生が、私のトレーナーの裾をキュッと掴み、掠れた声で呟いた。



「俺、何でこの世に生まれてきたんだろ···何で母さんは俺なんか生んだんだろ···。」


「········」


「俺なんか生きてる価値なんもないのにな···。」



 深海よりも深い溜め息をつき、死に迫る顔を地面に向けながら私の後ろをトボトボとついてくる琉生。


 なんか叱られた子供みたいだ。



「俺、明日首つって死のうかなー···。」



 いや、悲観的なリーマンみたいだ。


 あんなにやんちゃな琉生の中身は実は繊細で、こうして自分で問題を起こしておきながら勝手にネガティブ思考に陥るのだ。



「朱南···なあ、俺···明日、死ぬかもしんない。俺1人にされたらさ、明日勝手に死んでるかもしれないよ····。」


「な、なに言ってるの!」



 いつもそう言って死なないじゃん!!それに何で"明日"なの?今日でも全然ありだと思うよ私。

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