第15話

でもソファで隣に座る琉生との間隔が少し狭くなっていることに気が付いた。琉生は秋人みたいにむやみやたら触れてはこないけど、チラチラとした視線は何度も感じる。


 白々しく「飲み物でも買ってこようかな~」と私がソファを立つと、琉生が咄嗟に私の袖を掴んだ。



「.....な、なに?」


「.....今の、もっと大事にしなきゃいけない相手って、なんだよ....。」


「え?、ええと....」



 私は斜め上に顔を向け適当に考えるふりをした。



「ほら、琉生がよく一緒にいる相手でさ、」


「........」


「口喧嘩もたまにするけど、実は相性ピッタリでー」


「.....ほう。」


「華奢な身体でいつも笑顔を振り撒いている、可愛い可愛い」


「それって何?....お前のこと言ってんの?」



 違います心陽君のことです。



「違うって!ぼ、僕が可愛いわけないし。」


「....じゃあ、それって、嫉妬してんの?」


「は?嫉妬?」


「....そりゃ荒れてる時は女子校の女と遊んでたこともあったけどさ、」


「バーーーーカ!!!!」



 私は琉生に掴まれていた袖を振り払い叫んだ。琉生が私の声に驚いてソファにもたれ掛かる。



「.....は?」


「女の話を持ち出すなー!!もっと目を見開いて自分の相手を見極めろーーー!!!!」



 琉生がポリポリと頬を搔きながら顔を赤くした。



「やっぱそれ、嫉妬じゃん...。」



 違ーーーーう違うんだよそういう意味じゃないんだよ頼むから有無を言わさずあんたと心陽君の乱痴気騒ぎを私に見せてくれ!!!!

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