第13話

「おい!5分遅刻だぞ眼鏡!」


 寮の前で私の帰りを待ち構えていたのは不良キャラの琉生だ。


 両手を組み鋭い目を吊り上げ仁王立ちしている。



「ごめんね琉生、のんびり歩いて来たら遅くなっちゃった。」



 もう放課後だし今は秋人と琉生しかいないし、私は普段の男っぽい口調を作る朱良ではなく、女の朱南で琉生に話し掛けた。


 すると琉生は「おう」と小さく呟き少し赤くなった顔を反らした。



「皆藤、朱南に手を出せば刺す。」


「っはあ?!てめぇに言われたないわ!!散々ルール破ってる癖にッ!!」



「え?.....ルール??」


「いや......朱南は気にすんな。。」



 それから秋人にじっとりとした目付きで見送られながら、私と琉生は寮内の食堂の隣に併設している休憩室に入っていった。



 休憩室には雑誌や漫画が沢山並べられており、テレビやパソコンも何台か置かれている。さすがセレブ御用達の休憩室だ。



「そういや来年お袋の会社から新作のRPGが出るんだよ。」


「え!わた...僕RPG大好き!」


「またサンプル出来たら持ってくるし。」


「ありがとう!!」



 これだけ娯楽品のある休憩室なんだから当然他の生徒もちらほらいる。つい女の朱南口調のままで話しそうになってしまった。


 琉生とスマブラをやりながら会話するのが私たちのデートとなっている。


 琉生の家はお父さんが婿養子で、母方の一家が大手ゲーム会社を経営している。


 そのため琉生はまだ世に出回っていないような新作ゲームを持って来てくれたりするのだ。

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