私は踊る そして、舞台は暗転す

七月七日(なつきネコ)

第1話 乱闘の中で

光は彼女をてらした。


舞台でおどる女性。

その、 つややかさは、まさに蝶のよう。


ひとりの男が彼女をながめていた。

全身黒の着物のサムライはまさにバーでは異様。

サムライはからのはい に視線をうつす。


「おかわりでもいかが?」


そこに話しかけていたのは若い踊り子だった。

彼女は長いそで と長い すそ、金や、色とりどりのアクセサリーと着込んでいるようで、だらしなく肩や形のよい鎖骨、ヘソをだす姿は見るものを油断さそう。


男をだますように蠱惑的 こわくてきだ。

ついサムライが気をゆるしはい を さしだす。


「いただこう」


若い踊り子の色香にみほれるようにサムライは上機嫌に笑む。


「おっとと!」


入れすぎた酒がこぼれ、サムライの気が杯に注意がむいている。


それは……大きな隙だった。


「おい?」


踊り子は瓶を落とす…………袖の中に手をのばし……


ガシャン!


銀色の光がはしる。


「やあっ!」


隠していた短剣がサムライをおそう。


袖に隠れて見えぬ刃をサムライはタイミングをあわせて刀で受けとめた!


不意打ちの対処だけで、サムライの実力がみえた。

ふせがれたことで、踊り子にあせりがはしる……


「おしいな!!」


サムライは大ぶりの上段から袈裟斬りに斬る。


それを合図に、バーにいる戦士たちの乱戦が始まる。


中央には白い勇者が数人の踊り子に襲われて、大剣を振りかざすが、 彼によゆうはない。


ここで、今、目を向けるのはサムライと踊り子の戦いだ。


まさに閃光のごとくのサムライの素早い一撃。


踊り子は軽快なテンポで、袈裟斬りをさけて、 踊り子はステップふみ、音響にあわせるように踊り刃をふるう。


しかし、動きがにぶい。


それでも、サムライの左右の袈裟斬り、切り返しをよけていく。


踊り子の攻撃にサムライは足をさげ、距離をとる。


中央の勇者の戦い乱さないように……


表情の乱れ、サムライの隙も攻めることすらできない。一方的に攻められていく。


「やぁ~!」


ふところへと、ふみきれない……


軽快な体捌きで戦うべき踊り子がただ、サムライに飲みこまれていく。


「たぁー!」


ここで踊り子は場を変えるために気合をあげるが、その行為自体、終わっている。


短剣で無謀な脳天を狙う。

しかし、短剣は刀にはばまれた……


「あっ!」


ついに……


武器を飛ばされてしまう。


だた、ひとつの武器を失った彼女は尻もちをつき。

刀を突きつけられる。


恐怖を前にふるえて、怯えから、サムライに視線を外せない。


唯一の武器の短剣は勇者のあしもと……


このままなら、何もできないまま死ぬ。


やがて、ついに!


「そこまで!」


突然の雷がおちる。


世界は壊れて現実へと、薄ら冷めていく……

サムライと踊り子の視線が一つにかさなった。

席に多くの座席に空きがあるが、その中で……







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