Three: 🐜 🐜 🐜

第37話

春闘大会当日。




「朝8時半に迎えに行くから、8時半にはトイレ済ませて部屋の鍵閉めてアパートの前で小石蹴りながら待っとけ。」と西條さんに言われていた私。



でもあの人に家の場所を知られたら絶対溜まり場にされそうなので、少し離れたコンビニで待ち合わせしていた。はずなのに。



なぜか8時にうちまで来られた。早い。早いしうっとうしい。



しかも西條さんと野口さんの二人で来られて、うちに押し入られそうになるを阻止するのに30分かかった。予定通り8時30分に出発である。




「成世、朝マック食べる?」



助手席に座る野口さんの呼吸が乱れている。でも顔だけ“i'm lovin' it”の笑顔。うちへの押し入り攻防で暴れた30歳が、マックの紙袋を渡してきた。



「……え?バーベキュー前に、マックグリドル3つですか?中年太りとか気にしないんですか?」


「僕、食べても太らないもーん。」


「(女の大敵。でも35歳を過ぎれば思い知るタイプ。)」   




車中のマック臭がえげつない。



私が窓を開ける。西條さんが、「俺の車にマック臭をつけるな!」と、マックグリドルを片手に頬張った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る