第24話
「成世ちゃん!こないだの販売士試験満点だって!おめでとう〜!」
「さすが、派遣から正社員に昇格しただけのことはあるねえ。」
私の直属の先輩である
すかさず立ち、角度70度の当たり障りないお辞儀をする私。
「ありがとうございます。」
「それに、派遣であれだけの営業成績が取れるなんて前代未聞だよ。今後もOA機器担当の牽引役として期待しているよ。」
上司の期待の言葉には、どれだけの社交辞令と建前が込められているのか。
いいえ、期待される成世は素直に重圧だと受け止めておくのが正解。
「課長〜、あ・た・し!成世ちゃんの仕事ぶりは先輩であるこの私のお陰ですから〜。」
「そうかい
「もう〜課長〜っ!あ、今日のお弁当、鰻弁当発注してもいいですかあ〜?」
「ははは。勘弁してくれ。私の小遣いもヒラメ並なんだよ。」
楽しそうに鰻とヒラメの話で盛り上がる二人。
その背中を確認して、私は表情一つ崩さず席に座る。座った反動で、でこ出しスタイルのボブヘアが前に垂れ下がり、隠れた口元が自然と緩む。
販売士試験満点?え、凄くない私?かなりやるじゃない、どう考えたって絶対受験者の中で1位じゃない?!
心のウキウキが止まらない。
でもそれを顔に出せない日中の私。ポーカーフェイスを貫くのがオフィス内での私なのである。
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