第19話

「ほいじゃ…。」



遠くでドアの閉まる音が聞こえて、緊張感が一気に緩和される。目を瞑れば、頭の中身がぐるぐると回っているような感覚に襲われて。もう何もしなくていいのだという幸福に身を預けた。



お疲れ、私。




……その、およそ3分後。


 

「ふわっふわのミウさん、ごっそさんでしたー。」



その声にハっとして目を開ければ。



目の前にはキラ君の見目麗しい顔があった。



私の寝ぼけ眼が確かならば、その表情は、超満面の笑み。この野郎。 



いつもの七三に整えた髪型じゃない。シャワーを浴び終えた後の彼の前髪が、ヘーゼルイエローの瞳をまばらに遮っている。実はくせっ毛らしい。ゆるくうねりが発生している。



「な……っ」


「おやすみダーリン。」



最後に、ちゅっと、唇にキスをされた。きっとここでおでこにちゅうなら素人のやり方だ。(TLで読んだ。)



蕩けそうなほど眠いのに……自分の顔が熱くて寝れやしない。してやられた。さすがにNo.1はやることが違う。



305万案件は、きっちり最後まで私の自尊心を跡形もなく消していった。明日になったら元に戻っていることを願う。




私はこの日を持って、キャバと処女を卒業した。

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