第16話
「ね。ちゃんとこっち、見て。」
No.1ホストの手腕にハマるのは嫌なのに。赤ずきんに甘える狼に似せてくるのが、そう悪くないと思えてしまう。
305万という解決策がなければ、キラ君をかわいいだなんて思うことはないはずだし。きっと自分が堕ちるフリなんてこともしないはず。
堕ちる気持ち良さは、今日これっきりにしよう。そう肝に銘じながら、彼の瞳に縋った。
「後悔しても、無駄なんで。」
ベッドの上では猶予を与えてもらえなかった。
それに、思った以上に優しくもなかった。
――――――……
「んぁ」
「おやおや?だらしねー声がダダ漏れだねえ?」
「ふゃ」
痛い。痛いけど、そんなのはスタートダッシュだけ。
「ミウさ〜ん、ミウさーん」
「な、なに、」
「源氏名より本名で呼ばせてよ」
「やだ、絶対に、おしえないっ」
身体中が、溶かされる。吸い付かれる箇所が熱いのに、空気に触れればひやりとした感触が走って。でもまたすぐに溶かされていく。
足跡を残されていくみたいに。
「宿敵に処女差し出すとか、ミウさん相当狂ってるね」
「ん、んや」
「ん?反論できる余裕ねえって?」
これでもかと怒涛のように与えられる甘い前戯は、苦しさと紙一重だということを学んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます