6.

雪だるまなんて言葉も久しぶりに聞いた。

そもそも雪が降ること自体久しぶりで、だからなのか、懐かしさを感じ、大河よりも作りたい気持ちで人知れずうずうずしているだなんて、大人らしくも自分らしくもない。

そんな気持ちを押し殺している姫宮とは裏腹に、大河はというと、雪だるまというものにイマイチぴんと来ていない様子で、小さな口を開けたままぼんやりとしていた。


「こないだの『ハニワのだいこうしん!』でフィンランドっていう国を覚えていますか。そこの国の人達がこういったものを作っていたでしょう」


そう言いながら小口は、手のひらサイズほどの雪だるまを作って見せた。


「目と鼻となるものがなく、ただの雪の塊を作ったものですが、これよりも大きいものを一緒に作ってみましょう。ママさまもね」


ことの成り行きを見ていた姫宮の方へ振り向いたかと思えば、口元を緩ませた。

毎度のことながら小口は大河との架け橋になってもらっていて、ありがたくもそれ以上に申し訳なく思っていた。

雪がどんなものかと分かってもらえるようにした時のように、もう少し自ら大河に話しかけてみないと。


しゃがんで、雪の塊を作ろうとしている二人の輪にどうにか入り、一緒になって作っていった。


「雪だるまなんていつぶりでしょうね。これで作り方が合っているのかどうか」

「私も久しぶりなので今ひとつ分かってませんが、丸くしたものを少しずつ固めていけば、それなりの大きさになるかと。⋯⋯大河、この丸く作ったものに雪をポンポン固めてみようか」


自然と小口と一緒に作っていた雪の塊に雪を押しつけるようにして見せてみると、真似をして雪を押し固めていってくれた。


「そうそう、上手。これをやっていったら、そのうち雪だるまの体ができるからね」

「すっごく地道な作業ですよね。雪の質もなんだか固めにくいみたいですし。これをよくまあ作ってましたよね」

「⋯⋯そう、ですね」

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