第8話

「はじめまして、だね?どうも。俺は朔って言います。百合の知ってるとおり、今話題の36人を殺した連続殺人犯です。」

話している途中に質問はしないで、という彼の言葉を守って、私は次の言葉を待つ。

「まずは、なんでこんなに殺してるのかって事だよね。俺は、人を殺すのが楽しいの。それ誰でもいいの。

だから、殺してる。やってみないと分からない楽しさもあるんだよ。」


そういう彼の目はなんだか怖くて、私は思わず目を逸らした。

「次、なんでここに連れてきたかって話。

あそこで百合の家族を殺しても良かった。百合の顔を見るまでは、この家にいるやつ全員殺して、一気に3人格上げしよーって思ってたよ。

でもね、俺は君に惚れちゃった。君が欲しくて堪らなくなった。君を愛したいって、思っちゃったんだよ。だから、ここに連れてきた。

君の家族を殺せなかった分、別の人を探さないとね。目標は100人だから。まだまだだよ。」


パチンとウインクをして私に目標を告げ、それから彼は口を閉じた。

聞きたいことは全て聞けた。そう、聞けたはずだ。

でも、私の口は、まだ何かを聞きたがってる。


「私は、この家で何をしたらいいの。」

「百合は何もしなくていいよ、必要なものがあれば言ってくれれば与えるし、勉強がしたいなら家庭教師だってつける、行きたいところがあるなら、連れて行ってあげる。」

「そんなの、私にメリットしかないじゃない、朔さん、は?朔さんにメリットはないのに。」

「朔さん…いや、朔くんって呼んで。次からはね。俺にメリットはあるよ。帰ってくれば君がいるんだ。それだけで幸せなんだよ。

だから君は、好きなように生きていればいいよ、ただし、一つだけ、守ってくれる?」

にこにこしていた彼は、突如顔を変化させて、私の手を掴んだ。強く握られたところが痛い。

でも私の力じゃ振りほどけそうにもない、抵抗したらどうなるか。一瞬で闇に引き込まれた。


「ひとりで、この家からは絶対に出ないこと。

もし、出たりなんてしたら、」

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