第1章
百合Side
第2話
「35人もの命を奪った殺人犯は未だ捕まっておらず、警視庁は情報提供を呼び掛けています。防犯カメラにも映っておらず、目撃者探しにも難航しているようです。些細な事でも構いません、何かお気づきの方は------。」
女性アナウンサーが連日同じ内容を連呼する。違うのは殺された人数、それくらい。
いまやニュースは、連続殺人犯の話で持ち切りだ。
すでに35人も、同じ犯人に殺されているこの事件は、毎日のように報道されていた。
今日もまた、新しい人が殺されて、新しい遺体が上がったというのだ。
殺された遺体は全て、人気のないところで喉を切られた後にめった刺しになって見つかる。
縛られた跡がくっきりと残るほどにきつく縛られた手足のまま。
学校に行っても、教室の中ではその話が色んなところから飛び交ってくる。
高校生なんて好きなアイドルやテストの話題がほとんどだろうが、そんな平和な話題は昼が近づくにつれちらほらと出るだけで、朝はめっきり。
「百合!おはよ!」
「桔梗、おはよー」
「ニュース見た?もう35人って、」
「物騒だよね…桔梗も気をつけなよ、」
「冗談やめてよ。」
桔梗と軽く会話を交わして、私は席に着く。
冗談、なんかじゃない。冗談にしたかった。
実際、殺されている人は1箇所の場所で殺されているわけじゃない。
色んな県を跨いで、その殺人は実行されてる。現れる場所に規則性があるのか、と専門家が予想しなんとか防ごうと奔走している。
そんな努力もむなしく35人も殺されているわけだけど。
だからこそ、今日は自分かも、と怯える人が続出しているのだ。
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