第3話
「桜庭さん。」
「あ、朝倉さん。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。お待たせしました。」
「大丈夫です。全然待ってませんから。」
「それならよかった。じゃあ行きましょうか」
“デートしませんか”
そう言ってくれた彼と、デートすることになった。
“デート” なんてしたことなくて、ドキドキしてしまう。
デートって、普通なにするのかわからなくて、映画が見たいって言った。
定番、なんでしょ?
2人の男女のラブロマンス。
少しありきたりな内容で進んだ映画はやっぱりそこそこだった。
途中、横を見ると眠気と戦っている朝倉さんがいて申し訳なかった。
そういう私も、うとうとしながら映画を見ていた。
理由はわかっている。昨日、楽しみで眠れなかったから。
彼との“デート”に、ドキドキして気づけば朝だった。
エンドロールも終え、二人で外に出た。
「面白かったですね。」
「えっと、、はい、そうですね。」
「でも、少しうとうとしちゃいました。」
「ふふっ、気づいてましたよ。」
「え!ほんとですか、すいません。」
「はい、だからつまんなかったかなって。」
「いや、違うんです。今日が楽しみすぎて、全然眠れてなくて。」
「えっ、そうなんですか?」
焦ってそういう彼の耳は真っ赤だった。
私と同じ理由で眠れなかった、このデートを楽しみにしてくれていた。
その事実が嬉しくて私も素直に伝えようと思った。
「ふふっ、そっか。私もなんです。緊張しちゃって眠れなくて。」
「え、そうなんですか?」
「はい。」
「俺たち、なんだか似てますね。」
「似てますね。嬉しいです。」
少し手を口元に置きながら笑う彼は一段と綺麗だった。
綺麗って言葉が似合う、そんな人だなぁと思った。
その後は、ご飯屋さんに入って遅めのランチを食べた。
なんでもおいしそうに食べる朝倉さんは綺麗というより、かわいらしい人だった。
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