空に駆ける

影山 みはつ

第1話  ユズキ

「ユズキ、おはよう」とカナコが声を掛けた。

ユズキも「カナコ、おはよう」と返事を返した。

ユズキは「あ、そうだ。そろそろ教室へ行かないと授業が始まる。先生から怒られる」と急に駆け足を始めた。

カナコが「ああ、待ってよ。私も教室行かないと2人で先生に怒られる」と笑って走って行くとチャイムが鳴る前で、ユズキが「セーフ」と両手を横にして手で合図をした。

先生から「起立、礼」と号令が鳴って、慌てて教科書やノートを机の中に閉まっていた。

先生から「ユズキさん。もう授業は始まっているんですよ。急いで走って来て机に教科書などを仕舞う時間ではありませんよ」と注意が飛んだ。

ユズキは「うわ、やばいわ。まさかの先生のダメ出しが始まった」と冷や汗を掻いていた。

教室の周りの生徒は「ユズキ、怒られてやんの」とプククと笑いが起こっていた。

カナコも「うわ、ユズキが怒られてる」と慌てたのか、教科書を下に落としたカナコも、先生から「そこのカナコさん。あなたもですよ」と眼鏡をかけてキランと光らせていた。

カナコも「やばい、きゃー」と心の中で、慌てていた。

他の男子生徒で、コジロウが「あの、先生。他にも遅れてきた生徒は居ますよ。そんなに責めては可哀想だと思います」と意見が飛んだ。

カナコもユズキも「うわ、あの先生に目を付けられたら怖いのに良くも意見が出来たな」と汗を掻きながらコジロウを見ていた。

先生が「そうね。他にもそういう生徒は要るかも知れないわね?」とコジロウの意見に耳を傾けた。

カナコがコジロウに「さっきはありがとう。助かったよ」とお礼を伝えると、コジロウは「今度は気を付けてくれ。俺も目を付けられたら怖いからさ」とカナコに言伝をした。

カナコが「了解」とお辞儀をして、前を向いて授業を受けていたが、ユズキは「あ、この問題が難しい。分からない」と焦っていた。

ユズキは「後で、カナコに教えて貰おう」と笑みをこぼしながら、絵をひたすら描いていた。

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