そんな祥子に、啓一は話を続ける。




「お前は知ってるか?どんな怨みも晴らしてくれる地獄通信を」




「え……」




地獄通信がどんな物か、祥子は良く知っている。


顔を上げた祥子の先に、振り返った啓一が立っていた。




「ずっと糸を解こうと思っていたんだけどさ。せっかくなら目の前が良いと思ってな」




啓一の手には、藁人形が握られていた。




「啓一……?」




祥子はその意味を理解した。


そして、自分の依頼が届かなかった理由を。




「やっと怨みを晴らせるよ」




啓一は恐ろしい笑顔になった。


悪魔のような表情。




啓一は、ずっと祥子への怨みを増幅させていた。


ふがいない自分への言い訳を、祥子への怨みでごまかしていた。




今や夢を掴んだ啓一。


ふがいない自分を良く知っている祥子は、啓一にとって消したい過去の象徴でもある。




これから夢の続きを歩む啓一には、祥子は邪魔な存在でしかなかった。


そんな身勝手な思いが、怨みとして形になった。

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