「あなたが……地獄少女?」




祥子はおそるおそる少女に問いかけた。




「そうよ…」




「憎い相手を呪い殺してくれるんでしょう?」




祥子は地獄少女に詰め寄る。


しかし、地獄少女は無表情のまま。




「受け取りなさい」




地獄少女は、祥子に藁人形を差し出す。




「これは?」




「あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら


その赤い糸を、解けばいい。


糸を解けば、私と正式に契約を交わしたことになる。




怨みの相手は速やかに地獄に流されるわ。


ただし……怨みを晴らしたら、あなた自身にも代償を支払ってもらう。


人を呪わば、穴ふたつ。


契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に落ちる……」




地獄少女は、冷静に話を続ける。


祥子は説明を聞きながら、藁人形の糸をじっと見つめていた。




「私も……地獄に?」




「極楽浄土へは行けず、あなたの魂は痛みと苦しみを味わいながら、永遠に彷徨うことになるわ。


……死んだあとの話だけど。




あとは、あなたが決める事よ……。」




その言葉を言い残し、地獄少女は祥子の前から消えた。


祥子の手には、地獄少女が実在した証の藁人形が残った。

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