第37話



「………、」




一瞬、ぴくりと朔くんの身体が跳ねる。





「………朔、くん?」




うっすらと閉じていた目を開けて、無言の朔くんを、そっと窺う。




「………………チッ、邪魔しやがって。」



「ふふ、朔くんったら。」





不機嫌な朔くんに、笑ってしまった。




「朔くん、電話じゃない?」



「ああ。」



「出ないの?」



「………はぁ、だって、せっかく神無といるのにさ。」





唇を尖らせた朔くんが、溜め息を吐き出す。








それでも、不意に鳴り始めた自分の帯電話を、私を抱き締めたまま、手に取る。




「ーーーーえ?」




画面を覗いた朔くんが、目を見開いた。

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